パートでも有給休暇はとれる!日数や給料の計算も!

パートでも有給休暇はとれる!日数や給料の計算も!

パートだから有給休暇はとれない…。なんて思っていませんか?

そんなことはありません!パートでも有給休暇はとれると法律で定められているんです。

パートで有給休暇をとるための条件や日数、有給休暇をとった場合のお給料の計算方法まで、詳しくご紹介します。

 

有給休暇の条件と基本ルール

パートもとれる有給休暇の条件と基本ルール

有給休暇とは、一定期間以上勤務している労働者に対し、心身の疲労回復やゆとりある生活の保障のために付与される休暇で、その名のとおり、「有給」で休むことができるお休みです。

通常は欠勤をすると、休んだ分だけお給料が減らされてしまいますが、有給休暇ならば、お給料を減らされることはありません。

有給休暇を付与される条件は次の2つ※1

  1. 雇い入れ日から6か月以上経過している
  2. その期間の全労働日の8割以上を出勤した

この要件をどちらも満たしていれば、勤続年数に応じた日数の有給休暇が付与されます。

全労働日とは、会社と取り交わした契約書や就業規則で定められている、所定労働日数のこと。休日出勤などは含めません。

所定労働日数の8割以上出勤していれば、2の条件を満たすことができます。

有給休暇というと、正社員しか取得できないイメージが強いかもしれませんが、上記の2つの条件を満たしていれば、パートでも有給休暇は付与されます。  

 

有給休暇をとる日にちについては、原則会社は本人がとりたいと思う日にちに与えなければなりません。

一方で、繁忙期など、有給休暇で人員が減ることで著しく業務に支障が出る場合は、有給休暇が認められないこともありますので、明らかに忙しいと分かる時期は避けておくのが無難です。

2019年4月からは、労働基準法の改正に伴い、全ての企業において、年10日以上の有給休暇があり、有給休暇を5日以上使用していない人には、会社が時季を指定して年5日までの有給休暇をとらせることが必要となりました※2

これまでよりも有給休暇をとりやすい環境になりますね。

また、付与された有給休暇には有効期限があります。

有効期限は2年間ですので、1年間で使いきれなかった分の休暇日数は翌年に繰り越されることになります。

期限内に使用することのできなかった有給休暇は自然と消滅してしまいますので、ご注意ください。

パートに付与される有給休暇の日数

パートの有給休暇は何日ある?

正社員だけではなく、パートにも付与される有給休暇。

実はパートの場合、所定労働日数・労働時間によって付与される有給休暇の日数が異なります

所定労働日数・所定労働時間とは、会社と結んだ労働契約や会社の就業規則で定められた労働日数や労働時間のこと。

まず所定労働日数を確認したら、有給休暇が何日付与されるかを確認しましょう!

週5日以上の場合

所定労働日数が週5日以上の場合、付与される有給休暇の日数は正社員に付与される日数と同じ日数になります。

詳しくは次の表のようになります※3

勤続年数(年) 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
付与日数(日) 10 11 12 14 16 18 20

入社より半年で10日の有給が付与され、その後は6年半で上限の20日が付与されるまで、年々付与日数が増加します。

所定労働日数が週以外の期間で定められている場合は、年間の所定勤務日数が217日以上の場合、上記の有給休暇が付与されます。

パートでも正社員と同様の日数を付与してもらえるのはとてもうれしいポイントですね。

週4日以下の場合

所定労働日数が週4日以下の場合、付与される有給休暇の日数は週の所定労働時間によって異なります。

◆所定労働時間が30時間以上

1週間の所定労働時間が30時間以上の場合は、正社員や週5日働くパートと同じ日数の有給休暇が付与されます※3

週4日働いた場合、休憩時間を除く1日の勤務時間が8時間を超えると適応されるということですね。

 

◆所定労働時間が30時間未満

1週間の所定労働時間が30時間未満の場合は、付与される有給休暇日数は次の表のようになります※3

所定労働日数 勤続年数(年)
0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
4日 7 8 9 10 12 13 15
3日 5 6 6 8 9 9 11
2日 3 4 4 5 6 6 7
1日 1 2 2 2 3 3 3

所定勤務日数が週以外の期間によって定められている場合は1年間の所定労働日数を基に付与されます※3

週所定労働日数 4日 3日 2日 1日
1年間の所定労働日数 169日~216日 121日~168日 73日~120日 48日~72日

所定労働日数1日で入社半年の場合の付与数1日を下限とし、労働日数や勤続年数に応じた日数が付与されます。

所定労働時間が30時間未満の場合、最大でも付与される有給休暇は15日まで。

労働日数が少ない分、正社員などに比べて付与される休暇数も大幅に少なくなっていますが、所定労働日数が1日でも、8割以上出勤していれば、入社から半年で有給が付与されるのはうれしいですね。

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有給休暇をとった時のお給料

有給休暇のお給料はどうなる?計算方法

お給料はいくら支払われる?

有給休暇をとった際に気になるのがお給料の面。

有給休暇に対するお給料の支払いは、次の2つのどちらかにのっとって行われることになっています※3

  1. 労働基準法で定める平均賃金
  2. 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金

1.の平均賃金は直前3ヵ月のお給料をもとに割り出された金額が支払われるのに対し、2.は本来出勤していたら支払われていた金額がそのまま支払われます。

このほかに、会社と労使協定を締結した場合のみ、健康保険法が定める標準報酬日額に相当する金額が支払われることがあります。

どの方式にのっとってお給料が支払われるかは、会社によって異なります。

会社の就業規則によって定められていますので、就業規則を確認しましょう。

平均賃金の計算方法

直前3か月分のお給料から割り出される平均賃金には賃金体系によって2つの計算方法があります※4

1.原則の計算方法

月給制の場合などは、この計算方法をもとに平均賃金を出します。

計算に使う金額は、有給休暇をとった日以前の3か月間に支払われたお給料。お給料に締切日がある場合はその締切日に合わせて計算します。

計算式はこのようになります。

平均賃金=(3ヵ月分のお給料総額)÷(3ヵ月の総日数)

この計算でのポイントは勤務日数ではなく、月の総日数で平均を割り出すということ。間違えやすいですので、要注意です。

以下に具体例を挙げてご説明します。

  • 有給休暇取得日…12月3日
  • お給料の締切日…毎月20日
  • 11月分(10/21~11/20)…基本給20万円、通勤手当1万円、残業代1万円(計22万円)
  • 10月分(9/21~10/20)…基本給20万円、通勤手当1万円、残業代1万円(計22万円)
  • 9月分(8/21~9/20)…基本給20万円、通勤手当1万円、残業代2万円(計23万円)

この条件の場合、計算式は次のようになります。

平均賃金=(22万円+22万円+23万円)÷(31日+30日+31日)≒7,282.60円

1円未満の金額は切り捨ててよいと決まっているので、この場合の平均賃金は7,282円ということになります。  

2.最低保障の計算方法

日給制、時間給制、出来高給制の場合は原則の計算方法と異なる計算を行う場合があります。

計算式はこのようになります。

最低保障=(3ヵ月分のお給料総額)÷(3ヵ月の総労働日数)×60%

この計算のポイントは総労働日数、つまり勤務日数で平均を割り出すということ。

また、この計算で割り出された金額が、原則の計算で割り出された金額よりも高い場合、最低保障が平均賃金として扱われます

以下に具体例を挙げてご説明します。

  • 有給休暇取得日…12月3日
  • お給料の締切日…毎月20日
  • 時給1,000円で週3日の10:00~17:00まで勤務
  • 11月分(10/21~11/20、勤務日数13日)…7万8,000円、通勤手当1,000円(計7万9,000円)
  • 10月分(9/21~10/20、勤務日数13日)…7万8,000円、通勤手当1,000円(計7万9,000円)
  • 9月分(8/21~9/20、勤務日数13日)…7万8,000円、通勤手当1,000円(計7万9,000円)

この条件の場合、計算式は次のようになります。

最低保障=(7万9,000円+7万9,000円+7万9,000円)÷(13日+13日+13日)×60%=3,600円

これに対し、上記の条件での平均賃金を計算すると次のようになります。

平均賃金=(7万9,000円+7万9,000円+7万9,000円)÷(31日+30日+31日)≒2,576.08円

計算の結果、最低保障のほうが金額が高いので、この場合は最低保障金額を平均賃金として扱い、お給料3,600円が支払われます。

正しい知識で有給休暇をとろう!

パートでも有給が取れてハッピー!

「迷惑がかかるから」と言い出しづらかったり、有給休暇をとったせいで不当な扱いを受けるのではと心配になったり、はたまた「うちの会社に有給休暇なんかない」なんて言われたりと、なかなか有給休暇をとりにくくて困っている方は多いのではないでしょうか。

もちろん会社のこと、業務のことを考えるのは大切ですが、有給休暇は法律によって認められた正当な権利です。

やるべき業務をきっちりこなした上で、有給休暇について正しい知識を得て利用しましょう。  

 

【出典】
※1 厚生労働省 「労働条件・職場環境に関するルール」
※2 厚生労働省 「年次有給休暇の時季指定義務」
※3 厚生労働省 「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」
※4 大阪労働局 「平均賃金の計算」

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